Six Invitational 2021 出場チーム紹介!【Giants Gaming編】

 皆さんこんばんは、ボンゴレドミンゴと申します。

 Six Invitational 2021出場チーム紹介第10回目となる今回は、APACの巨人、Giants Gamingを紹介します。

目次

Giants Gaming メンバー紹介

 Giants Gaming、組織自体はもともとスペイン発祥で、しばらく他のeSportsと同様、シージでもヨーロッパでチームを構成していました。常滑での世界大会が終わって2か月後の2020年1月6日に、当時保有していたロースターをRogueに譲渡し、代わりに常滑で戦った相手であるAerowolfのロースターを獲得。APACに参入し今に至ります。

 メンバー単位でチームを見てみると、現メンバーであるLunarmetalとYsaeraともう3人が2016年にTeam Envyを立ち上げ、その後複雑なチームの名称変更(TydeだったりTeam CryptiKだったり)を経つつ、2017年にHysteRiXが加入、2018年にAerowolfと契約し、2019年にSpeakEasy加入、2020年にjrdn、Histoire、GiGコーチが加入して今の形に落ち着いています。今もAPACの最前線で戦っている過去メンもいて、現FnaticのMentalistC選手や、現Seventh HeavenのSpirited選手あたりが在籍していました。現メンバーになってから1年半弱の月日が経っているので、チーム体制としては万全そうですね。

チームTwitter:https://twitter.com/giantsgaming

2021 Stage1での成績

 APACリーグの再編により、今季からAPAC Southに組み込まれたGiants Gaming。昨年、圧倒的な成績でAPACに君臨したGiantsですが、多くの方がご存知の通り、今季は成績が振るわずまさかの3勝4敗、8チーム中7位に落ち込みました

 当然、プレイオフにも進出すること叶わず、大きな番狂わせが起きてしまいましたね。絶対的エースであるHysteRiX選手はRatingがリーグ1位と、相変わらずとんでもないスタッツをたたき出していた一方で、その後方の4人はなかなか個人スタッツが伸び悩んだ、という結果になっています。

なぜ今季、Giantsは不振にあえいだのか

 しかし、昨年あれほどの強さを誇ったGiantsが、なぜ今年ここまで順位を落としてしまったのでしょうか。…何となくその原因ってこれじゃないかな、というのが下表、昨年と今年の攻防ラウンド取得率になります。(Major、Finalは含まず)

 2020年シーズン、Giantsはとにかく防衛でラウンドアドバンテージを取るチームであったことが如実に分かります。平均値から見ると4-2で防衛を取り、その優位を保ったまま3-3で攻撃をしのいでトータル7-5、ggwpといった感じでしょうか。意外と攻撃で大幅に優位を取るタイプのチームではないんですね。まあ昨年は今より防衛有利な環境だったので、優秀な攻撃ラウンド取得率ではありますが。

 昨年の数字に比べると、今年は攻防ともにラウンド取得率が下がっており、特に防衛側の勝率が落ち込んでいることが分かります。今まで防衛で優位を握っていたところが取り切れず、攻撃で取りこぼしたりオーバーラウンドで競り負けた結果、試合を落としてしまう…という流れが見られましたね。

 Giants低迷の一要因として、得意としていた防衛でのラウンド取得率の低下が挙げられるかと思いますが、ではなぜこんな事態になったのでしょうか。現環境とAPAC Southチームの特性から仮説を立てるなら、「これまで時間やガジェットを味方につけて有利な撃ち合いを展開していたところ、環境の変化でその前提が崩れてしまい、撃ち負けるシチュエーションが増えた」ということになるかと思います。20秒メタと形容された、とにかく攻撃側の時間が無い昨年と比較して、今年は攻撃側に時間やリソースの余裕がまあまああります。これまで、①HysteRiX選手やSpeakEasy選手の前線での粘り強さと②的確なガジェット配置の合わせ技で相手に多大な時間と労力を使わせていたGiantsですが、②が脆弱になってしまったので、昨年相手を圧倒していた洗練された構成が、どこかで無理をしなければいけないシステムになってしまったのではないでしょうか。そしてその無理をする際、立ちはだかるのがオセアニアと東南アジアの撃ち合い猛者たちです。なかなか撃ち勝つのは難しいでしょう。そうなるとラウンド取得に不確定な要素が多く生まれてしまい、それが悪い方向に寄った結果、負けが込んでしまった…ということではないでしょうか。 この仮説を検証するために、昨年と今年、同じマップ同じボムの防衛でどのような違いがあるか見ていきましょう。下表は昨年と今年、レギュラーシーズンでGiantsが戦ったマップの勝敗を示しています。

 少し脇に逸れますが、これを見ると、山荘とかいうまだ不確定要素が多いマップで負けちゃっただけで、そこまで懸念するようなシーズンの内容ではない気がしてきますね。それはさておき、サンプルのマップとしてはクラブハウスが適当でしょう。昨年はレギュラーシーズン4戦全勝だったマップですが、今年はQ-Confirm、Pittsburgh Knightsを相手に惜しくも落としてしまい、負け越しています。このクラブハウスで、昨年についてはStage1でGUTS Gamingとぶつかった試合を、今年についてはQ-Confirmとぶつかった試合をピックアップし、それぞれジムベッド守りの時(GUTS戦では2ラウンド取得しているがQ-Con戦では2ラウンド失っている)の流れを見てみます。

GUTS戦:https://youtu.be/EBXsn45HIg0

Q-Con戦:https://youtu.be/8XU2XIkOUwQ

 それぞれの動画で、GUTS戦ではラウンド2と5、Q-Con戦ではラウンド4と6がGiantsのジムベッド守りです。「これまで時間やガジェットを味方につけて有利な撃ち合いを展開していたところ、環境の変化でその前提が崩れてしまい、撃ち負けるシチュエーションが増えた」という仮説を立てていましたが、実際に試合展開を見てみると、まあそうかもしれないくらいの納得を得ました。紙面の都合上、細かい展開は割愛しますが、4ラウンド全て、ボムを包囲するタイミングはだいたい残り1分切ったくらいで同じです。その段階で金庫室にこもっているプレイヤーは排除できていてS側テラスを攻撃側が使えるようになっており、W側の2枚壁が開いているけどシャワーにまだ防衛側が居座れていたりする、という状況でした。

 ただし、大きく違う点が昨年と今年とであって、それは拠点内に残っている展開型シールドの数です。GUTS戦ではボム内に2~3枚の展開型シールドが残っていて防衛側が使える小さなエリアが多く残っていたのに対し、Q-Con戦ではそもそもシールドを持ってきていませんでした。これにより、最終のごちゃごちゃっとした撃ち合いで防衛側の寄る辺が無かったことが、ラウンドの勝敗を分けたのかなあと。もちろん、この現象って今昔の環境の違いによるものなのでGiantsに限らずどのチームでも起こりうるんですが、その時に残っているGiantsのメンバーの撃ち合いがうまくいかなかったのかなあ、それが今季よく起こってしまっていたのかなあという感想を持ちました。シールドを持ってきてないということは他の防衛のコンセプトがあったはずなのですが、うまく機能していない印象。もともと、ガジェットをうまく使った防衛を得意としていたチームが、撃ち合いにシフトしていく環境の変化に出遅れてしまった…ということなのかもしれませんね。

まとめ

 粗い議論ですが、何となくGiantsの不調の要因が分かったような気がします。ガジェットを中心としたメタから撃ち合いの色が徐々に濃くなっている現環境で、今季の反省を踏まえてどのように修正できているか、修正するとしたらどのように修正しているのか、注視しながら試合を観ていきたいですね。今でこそ不調ですが、やはり我らがAPACの巨人ですから、APAC全体を牽引するような活躍が見たいです。初戦は5月12日の18時から、対戦相手は前回準優勝のNiPです。タフな戦いになると思いますが、ハッシュタグ#WeAreGiantsをつけて応援しましょう!みのがさないでね!

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この記事を書いた人

SiegeGamers発起人。
プロチームに3年半ほど所属していたので、その経験や知識を活かして皆さんに分かりやすく記事を書けたらと思っております。

東京デザインテクノロジーセンター専門学校 プロゲーマー専攻講師

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